体外循環技術
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人工心肺離脱困難例に対し,腋窩静脈脱血によるPCPSを施行した1症例
山本 賢石川 隆志山内 章弘海江 田章豊崎 正人三澤 健治榊原 未和石川 正敏杉森 美幸石田 沙織伊藤 康宏井平 勝日比谷 信渡邉 浩次山下 満服部 良信
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2006 年 33 巻 1 号 p. 84-86

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抄録

【要旨】今回我々は体外循環離脱困難例に対し,腋窩静脈脱血-大腿動脈送血にて経皮的心肺補助(PCPS)を施行した症例を経験した。症例は65歳,女性。慢性肺血栓塞栓症(C-PTE)に対する肺血栓内膜摘除術後,残存肺高血圧および肺動脈縫合部より出血を認めたためPCPS導入となった。PCPSの脱血管を挿入するため大腿静脈よりガイドワイヤを挿入するも血栓によりIVC filterが完全閉塞しており,大腿静脈から右房への脱血管挿入は困難であった。そのためカットダウンにより右腋窩静脈より19.5Frの脱血管を挿入し右房までカニュレーションを行った。送血は15Frの送血管を右大腿動脈に挿入し,灌流量:2.0L/min,FiO2:100%,酸素流量:2.0L/minで開始した。補助循環時間は312時間であり,その間2回の回路交換を実施した。補助流量は2.0~4.0L/min,ACTは出血を考慮し150~200秒で維持した。補助循環中は脱血不良などの回路に起因するトラブルは認められず右腋窩静脈脱血での補助循環であったが有効な1手段であった。

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© 日本体外循環技術医学会
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