抄録
1997年から2002年までに経験したインフルエンザ脳炎・脳症後遺症例9例の経時的脳波所見を検討した。急性期には全例でけいれん発作が頻発し、画像では7例が塩見らの遅発性皮質型、またはけいれん重積型と呼ばれるタイプであった。てんかん発作は5例で認められ、2例が症候性局在関連性てんかんであり、3例はミオクロニー発作を主体とする症候性全般てんかんであった。脳波所見は急性期には全例高振幅徐波を呈し、2例で周期性異常波を認めた。その後7例で1~12カ月後に焦点性棘波が出現し、4~18カ月後にはそれが全般化して多棘波を呈した。今回検討した症例では経時的脳波所見は共通した変化を呈し、インフルエンザ脳炎・脳症に特徴的な経時的脳波変化である可能性が示唆された。