2005 年 23 巻 3 号 p. 196-214
てんかんを治癒できる薬物は残念ながら未だ存在せず,これまでの全ての抗てんかん薬は、「抗発作薬」であり、「抗てんかん原性薬」ではない。「発作誘発因子」と「てんかん原性」の概念を区別し、新しいてんかん治療薬の開発のためにパラダイムシフトが重要な課題である。
本稿では、抗てんかん薬開発の歴史を概括し、既存の抗てんかん薬の現状と限界を理解すると同時に、動物実験および臨床的なてんかん原性研究の現状を概括した。さらに、われわれが自然発症てんかんラット(SER)において実施したてんかん原性研究実験の一端を紹介し、今後のてんかん原性研究の方向性について提言したい。