てんかん研究
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特集
成人てんかんにおける2001年ILAE国際分類(案)によるてんかん診断の試み
地引 逸亀
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2008 年 26 巻 1 号 p. 63-66

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抄録

2001年にILAEから提唱されたてんかん発作とてんかんの診断大要案によるてんかんの国際分類案の妥当性を検証する目的で、自施設における成人てんかんの自験例34例を対象として同分類に準じててんかんの診断を試み、これまでの1981年のてんかん発作、1989年のてんかんおよびてんかん症候群の国際分類と比較検討した。新大要案は軸1の発作現象の具体的記述や軸3の辺縁系てんかんの特定、軸4の病因や軸5の機能障害の多軸診断など、新規的で長所と思われる面も多い。反面、軸2の焦点性発作の分類や軸3の新皮質てんかんの分類などは従来に比べて使いづらい感がある。特に単純および複雑部分発作のごとき意識減損の有無に基づいた焦点性発作の従来の二分法的分類は、それが便宜的かつ有用であったために、その廃棄はかなり抵抗感がある。この理由で、当分は両分類が並立した混乱した状態が続くであろう。

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© 2008 日本てんかん学会
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