てんかん研究
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原著
潜因性ウエスト症候群における知能予後良好例の臨床経過
小一原 玲子浜野 晋一郎池本 智樋渡 えりか平田 佑子松浦 隆樹南谷 幹之
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2017 年 35 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

発症時に潜因性ウエスト症候群と診断された症例のうち、知能予後良好例の特徴を調べた。発症時の患者情報、治療反応性、その後の発作、脳波、発達経過を調査し、知能予後良好群、中等度群、不良群に分け、比較検討した。結果は潜因性25例のうち知能予後良好例は10例(40%)であった。初期治療開始までの期間が不良例と比較し有意に短かった。また、予後良好例の全例において、初期有効治療またはACTH後には発作は消失し、発達においては初期治療直後に発達遅滞を認めても、治療6カ月後には正常範囲内であった。これらが知能予後良好となる条件の可能性がある。一方、中等度例のうち、治療介入が遅れたものは初期治療以降に発作や脳波異常をともに認めなくても、知的発達は正常域まで到達しない症例が存在した。神経回路網の形成に非常に重要な乳児期早期にそれが阻害されることが、その後の発達予後に大いに影響すると考えられた。

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© 2017 日本てんかん学会
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