てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
Print ISSN : 0912-0890
ISSN-L : 0912-0890
原著
てんかん患者学習プログラムMOSES(モーゼス)の有用性に関する予備的調査
山﨑 陽平西田 拓司井上 有史
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 35 巻 3 号 p. 702-709

詳細
抄録

てんかん患者のための学習プログラムMOSES(Modular service package epilepsy、モーゼス)は、てんかん患者が病気を理解し、実践的な対処能力を身に付け、積極的に病気に向き合うことを学ぶための心理社会的学習プログラムである。海外の報告では、MOSESは知識の向上だけでなく、てんかんに対する対処法を身につけ、発作を減らし、副作用を軽くすることが証明されている。今回、本邦で実施しているMOSESの有用性を明らかにするために、MOSES実施前後で、てんかん患者の生活の質(QOL)、てんかんに関する知識、気分状態、主観的日常生活評価の変化について調査した。本調査の結果、MOSESを受けたてんかん患者55名では、てんかんの知識スケール、全体的な生活の質、てんかんへの適応の項目で統計学的に有意な得点の向上を認めた。MOSESの効果として、てんかんについての知識の向上のみならず、生活全般の満足度やてんかんという病気を前向きに受け入れようという心理面の変化が得られたと考えられる。

著者関連情報
© 2018 日本てんかん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top