てんかん研究
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原著
日本版EpiTrackの開発と信頼性と妥当性の検討
足立 耕平越本 莉香安中 裕紀長谷川 直哉本田 涼子小野 智憲
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ジャーナル 認証あり

2023 年 40 巻 3 号 p. 519-529

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抄録

EpiTrackはてんかん患者の認知機能を評価するために開発された神経心理学的検査である。主に注意機能、遂行機能を測定する検査とされ15分程度で簡便に実施することができる。本研究では日本版EpiTrackを開発し、信頼性と妥当性の検討を行った。健常群218名、てんかん患者の臨床群51名に日本版EpiTrackとその他の神経心理学的検査を実施した。EpiTrack得点の平均値と標準偏差、およびROC解析の結果をもとにカットオフ値(29/30点)を設定した。健常群ではカットオフ値を下回った割合は10.1 %であった。一方、臨床群では54.9%であり、半数程度がカットオフ値以下の値を示した。妥当性に関して、EpiTrack得点は注意機能や遂行機能を測定するとされる仮名ひろいテストと最も高い相関を示した。再検査に関する信頼性について、ピアソンの相関係数は0.76であり十分な値が得られた。日本版EpiTrackは信頼性と妥当性を備えた検査であり、てんかん患者の認知機能を評価するスクリーニング検査として活用することができる。

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© 2023 日本てんかん学会
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