てんかん研究
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てんかん婦人から出生した児の精神運動発達
育児環境の重要性について
藤岡 邦子
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1984 年 2 巻 1 号 p. 25-34

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抄録

遠城寺式乳幼児分析的発達検査を用いて, てんかん婦人から出生した児における発達遅滞の要因を検討した。その結果, 妊娠中の母親の抗てんかん薬服用量, てんかん発作の有無などの影響は2歳以前の児には認められるものの, 3歳以後はむしろてんかんを病む母親と児の関係などを含む養育環境が重要であることが判明した。そして母親の育児能力に問題があり, 母親が十分に育児をできないものと推定される際には, 積極的な集団保育の導入も必要と考えられた。換言すれば, 本研究から, 正しく育児されるならてんかん婦人から出生した児でもそのほとんどが正常に発達しうることが示された。

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© 日本てんかん学会
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