てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
Print ISSN : 0912-0890
ISSN-L : 0912-0890
猫の脳内葉酸注入によるてんかん重積発作回復後の突然死
関 健Juhn A. Wada
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 3 巻 1 号 p. 80-89

詳細
抄録
neurotoxinの1つである葉酸を猫の一側扁桃核または無名質に投与したところ, ほぼ同様の脳波・行動上のてんかん重積発作が一過性に惹起されいったん回復した。しかし2~4週間ののち突然, 無力, 無欲, 意識混濁状態となり死亡した。病理学的には脳および心臓に虚血性組織変化が認められ, カテコラミン放出に由来する心臓死が強く示唆された。これはヒトのてんかん患者でみられるsudden unexpected death (SUD) とある相似点をもっており, その解明に有用なモデルと考えられた。ネンブタール麻酔下で同様の実験を行ったところ, 猫は生き延び, 扁桃核キンドリングに対する影響もなかった。すなわちこのSUDは予防可能であることが確かめられた。
著者関連情報
© 日本てんかん学会
前の記事
feedback
Top