教育・社会心理学研究
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標準への同調・非同調行動と課題想起に関する実験的研究
田崎 敏昭
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1971 年 10 巻 1 号 p. 73-78

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抄録

本実験的研究は, 三枚の絵の良し悪しの判定で, 個人の判定が所属集団の標準と一致した場合, 不一致の場合, また標準へ同調した場合, 非同調の場合における絵の課題名想起率の違いをみようとしたものである。さらに, 親和欲求の高い者と低い者でそれら条件間の課題名想起率の差に違いがあるかどうかを明らかにしようとした。大学生を被験者として3枚1組18組の絵の評価を行なわせ, 一週間後, クラスの標準判定を示して絵の再評価を行なわせた。さらに再評価後, 絵の課題名を思い出すよう求めた。結果は次のとおりである。
1 一致課題と不一致課題を比較すると, 不一致課題の課題名想起率がやや高いが, 有意差はみられなかった。
2 同一, 同調, 非同調課題の課題名想起率は, 同一課題, 同調課題, 非同調課題の順で高くなった。
3 高親和欲求群の同一, 同調, 非同調課題相互間の課題名想起率の差は, 低親和欲求群のそれら相互間の課題名想起率の差より顕著に大きかった。
本実験で, 課題名想起率が高いことは個人の内部緊張が高くなったからであると解釈される。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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