教育・社会心理学研究
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両親の指導性が児童の学業成績, テスト不安と適応性に及ぼす効果
三隅 二不二阿久 根求
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1971 年 10 巻 2 号 p. 157-168

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抄録

本研究は, 両親のPM式指導類型とOver Achiever, Under Achieverとの関係, およびテスト不安, 適応性との関係を明らかにすることを目的とした。調査対象者は, 福岡市のB小学校4年生と5年生の456名であった。両親の指導性は, PM式親子関係尺度を用いて子どもの認知にもとずいて測定した。そして両親の指導類型をPM型, P型, M型, pm型の4つのタイプに分類した。テスト不安は, Sarasonらの開発したTASCを用い, 適応性は, 劣等感, 情緒性, 家庭関係, 学校関係, 友人関係から構成されている牛島の適応性検査を用いて測定した。結果を要約すれば, 次の通りである。
(1) Over Achiever (M-H群, L-H群, L-M群) には, 父親, 母親ともPM型, M型が多くみられたのに対し, Under Achiever (H-M群, H-L群, M-L群) では, 父親, 母親ともP型, pm型が多かった。Balanced Achieverでは, H-H群にはPM型, M型が, P型, pm型よりも有意に多くみられたのに対し, M-M群, L-L群では, 両親の指導類型間には, 統計的有意差はみられなかった。
(2) テスト不安との関係では, 父親, 母親ともP型とpm型の時に, PM型とM型の時にくらべて, 子どものテスト不安得点は有意に高くなっていた。
(3) 適応性との関係では, 情緒性と家庭関係において, 4年, 5年の男女とも, 両親がP型, pm型の時に不適応得点は高くなっていた。しかしながら, 劣等感の項目においては, 親の指導類型とその得点との間には, 4年, 5年の男女間に, 必ずしも一貫した傾向がみられたとはいえなかった。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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