脳性マヒ者の機能訓練を考える時に, 児童の場合, 特に訓練に対するモティヴェーションが低く, 訓練がうまく進まないということがある。したがって, 訓練を動機づけ, 楽しみながら訓練をすることが必要で情緒の安定を得たり, 訓練に対するモティヴェーションを高めるには, 遊戯法が効果があるだろうという考えのもとに, 集団遊戯と機能訓練を併用してみた。
その結果, 集団遊戯場面での変化に伴なって, それが機能訓練にどのように影響したかを考察した。
方法は, 9名の脳性マヒ児童を対象に, 週2回, 30分間の集団遊戯, そのあと, 約30分間, トレーナーと子どもが1対1で機能訓練を行ない, 合計21セッションした。社会的参加度によって, 遊戯場面での行動を, 集団競争的行動, 闘争的行動, 自分勝手な行動, 社会的に何もしていない, ひとり遊び, 傍観的行動, 平行遊び, 連合遊び, 協同遊びの9つのカテゴリーでチェックした。
その結果, 攻撃性の出現によって, 遊戯場面は, I期 (攻撃的行動が多く出た), II期 (I期よりも落ち着いて, 連合遊びが多く見られた), III期 (協同遊びが出てきたが, まだ一時的), IV期 (かなりグループ全体が協同して遊ぶ雰囲気が出てきた) に分けられた。
機能訓練の方は, 遊びの変化に伴なって, 態度が安定し, トレーナーとの人間関係もよくなって, 訓練に対して意欲的になり, それにつれて, 訓練の効果もあがっている。
遊びと訓練の効果をみると, 運動機能の改善に対して訓練の効果があまりなかった者2名, 遊びと訓練の両方が効いた者2名, 遊びが効いた者2名, あまり変化のなかった者2名, マイナスの効果があった者が1名いた。
遊びの効果には, 訓練を促進する効果, 遊びそのものの効果, 訓練を逆向させる効果があり, 遊びと訓練を併用した場合に一番効果があった。