日本食品化学学会誌
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論文
液体クロマトグラフィーを用いたアスパルテーム中の2-(5-ベンジル-3,6-ジオキソピペラジン-2-イル)酢酸の定量法
佐藤 恭子大槻 崇建部 千絵滝口 肇中村 良一郎小田部 晶大林 洋子穐山 浩
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キーワード: DKP, アスパルテーム, HPLC
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2015 年 22 巻 3 号 p. 170-174

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抄録

2-(5-ベンジル-3,6-ジオキソピペラジン-2-イル)酢酸(DKP)はアスパルテーム(APM)の製造時に副成される分解生成物の1つである。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)、米国、EU、日本などでは、アスパルテーム中のDKP含量は1.5%以下との純度規定が設定されている。この規定への適合性を確認するための試験法として、JECFAや日本におけるAPM規格では、パックドカラムを用いたGC法が採用されているが、誘導体化などの前処理が煩雑なことやAPM中の夾雑成分の影響により、正確な定量が困難なケースが多い。本研究では米国食品化学物質規格集(FCC)のHPLC法を参考に、APM中のDKP分析における粒子径5μmのカラムを用いたHPLC法を確立し、その性能を評価した。添加回収試験(n=5)では、検討した2点の濃度におけるDKPの回収率は99.1%以上、RSDは0.4%であり、真度(回収率)、併行精度は良好であった。また、本法のDKPの定量下限(S/N=10)は、APMに対して0.002wt%、検出限界(S/N=3)は0.0005wt%であった。さらに、10種のAPM製品中のDKPの分析を行ったところ、本法及びFCC法のデータに有意な差は認められず、本法は、FCC法と同程度に正確なAPM中のDKP含量を算出できることが明らかとなった。以上より、本法は迅速、簡便なAPM中のDKP分析法として有用と考えられた。

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© 2015 日本食品化学学会
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