日本食品化学学会誌
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論文・報文
キャプタン等の残留農薬含有国産農作物の調理・加工過程での消長(1)
吉川 典子開原 亜樹子中西 裕子西田 真琴三島 映子森山 恵子扇間 昌規伊藤 誉志男
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1998 年 5 巻 1 号 p. 14-18

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抄録

1.農薬が残留している市販の国内産小松菜、ししとう、たまねぎ、白菜、いちご、キウイフルーツ及びりんごを用いて、調理及び加工過程における農薬の挙動を検討した。2.キウイフルーツ(フェニトロチオン)及びりんご(キャプタン、クロルピリホス)の果皮を除去したところ、97.6-100%の減少が見られた。3.いちご(キャプタン、エンドスルファン、プロパニル)及びりんご(キャプタン、クロルピリホス)をジャムに加工したところ、いちごでは11.4-88.2%、りんごでは59.1 100%の減少が見られた。4.小松菜(ダイアジノン)、ししとう(エンドスルファン)、たまねぎ(プロパニル)及び白菜(EPN)について、(1)ゆでる、(2)炒める、(3)あげる、の調理を行ったところ、(1)は2.2-80.0%、(2)は54.5-87.5%、また、(3)においては70.0-95.1%の減少が見られた。5.収穫前に農薬散布が行われた国内産農作物と、浸漬法による農薬添加試料において調理過程における消長を比較したところ、両者はいずれの調理方法においても同様の減少を示した。本研究の要旨は、日本薬学会第117年会(1997年3月、東京)で発表した。

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© 1998 日本食品化学学会
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