森林利用学会誌
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論文
巡視係数を用いた交通利便性の評価
鈴木 秀典大川畑 修梅田 修史山口 智
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ジャーナル オープンアクセス

2002 年 17 巻 3 号 p. 131-140

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抄録

林道における循環路網の交通利便性,および路網発達と交通利便性の関係について調べた。また,路網の発達度を表すための新たな指標となる巡視係数を導入した。巡視とは,すべての路線を少なくとも1回通り,総走行距離を最小にしてスタート地点に戻る移動を表す。巡視係数は循環路を形成する路線距離の割合と強い相関関係を有し,両者の和は必ず2以上になることが分かった。交通利便性を2点間の交通距離と直線距離で表すと,任意の2点間では,路網の発達にともない交通利便性が高くなることが分かった。また,路網において最も利便性の高い地点は,ほとんどの場合その起点であったが,起点からの交通利便性は路網発達による向上が認められなかった。これは,起点と路網の各点を結ぶ移動では,地形的な理由から既設の道より短い距離の路線を開設できないことが多いためと考えられる。本研究で導入した巡視係数は,樹枝状路網から循環路網へと発達していく過程を評価するのに適した指標であり,林道における循環路網の発達度の一面をとらえることができる。

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© 2002 森林利用学会
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