森林利用学会誌
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論文
森林施業の実績に基づいた林内道路網の配置計画と優先順位の決定
中澤 昌彦松本 武山田 容三近藤 稔
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2005 年 20 巻 2 号 p. 71-82

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抄録

愛知県北設楽郡東栄町において,過去10年間の森林施業の実績に基づいて今後10年間の基盤整備の配置計画とその開設の優先順位付けを行った。資料には同町森林組合が1991年から2000年に受託実施した植栽,枝打,下刈,除伐,間伐の施業履歴を用いた。過去10年間のうち施業地の到達距離が平均以上の施業地を開発対象とした。それら施業地群の中心位置から最寄りの道路まで作業道を開設するとし,利用区域面積の観点から1小班1路線を計画した。優先順位付けの指標には施業地までの到達距離の総短縮量を用いた。その結果,189の候補路線が計画され,総延長は約107kmであった。総建設費は開設単価9000円/mとして9.6億円と試算され,同町の林道開設費の7年分に相当した。候補路線の配置の結果,施業地の到達距離及び作業者の歩行負担は過去10年間より半減する効果があった。過去10年間の開設延長は約30kmでありそれらの削減効果は10%未満であったが,開設効果の高い上位30km,41路線だけを開設したとしても30%程度の削減効果があった。また,半分以上の施業地が道路から100m以内になり,集約的な施業が期待できる。

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© 2005 森林利用学会
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