森林利用学会誌
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論文
伐採作業における樹種のちがいによる事故の危険度
ポーイェ アントンポトチニク イゴル酒井 秀夫
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キーワード: 林業, 労働安全, 危険, 作業, 樹種
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2010 年 25 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

ブナの伐採が,その複雑で非対称性な樹冠特性,枝の配置,長さ,厚み,幹の曲がりからしてトウヒやモミに比べて危険度が高いという仮説を検証した。スロベニア国有林で1999〜2005年に発生した払い下げ作業員の事故を分析した。999件の事故のうち,528件が伐採中であり,そのうち475件がブナ,トウヒ,モミの伐採中である。伐採材積または本数に対する事故発生割合から,ブナ伐採がトウヒやモミに比べてどの程度事故の危険性が高いかを示した.I_kは伐採材積を,I_dは伐採本数を指標としたとき,ブナ伐採時はトウヒ,モミに比べて,I_dは1.1倍,I_kは1.5倍高い。くさび打ちのI_d,I_kはそれぞれ1.3,1.9倍,追い口切りは1.6,2.3倍,造材・玉切りは2.0,2.9倍と高い。かかり木除去,枝払いのI_kはそれぞれ1.4倍,1.2倍でありI_dは1.0倍,0.8倍である。概してI_kはI_dよりも高い。以上の結果は,今後広葉樹伐採の研修,作業準備などの事前の安全性確保,作業管理,作業組織,安全作業評価にとって活かすことができる。

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© 2010 森林利用学会
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