2016 年 31 巻 1 号 p. 13-19
木材生産とバイオマス集荷の両方の効率化を目指す試みとしてハーベスタとグラップルの2機種による車両系機械作業システムの検討を行った。林内集材路が高密度に入った路網密度約150m/haの皆伐林分に試験区を設定し,ハーベスタ伐倒・グラップル全木集材・ハーベスタ造材・グラップル巻立てを機械2台・オペレータ2名のシステムで実施した。対照区として集材を従来型機械のウインチ付きトラクタで代替するシステムも実施し,時間観測と作業時間分析を行った。その結果,ハーベスターグラップルシステムの労働生産性は21.4m^3/人・日となり,ハーベスタートラクタシステムの8.1m^3/人・日と比較し約2.6倍の労働生産性となった。また土場には約42tf/haのバイオマスが集積した。本試験の結果,路網条件が整えば林業収支が厳しい北海道においても,集材機械への新たな資本投資を伴わずに木材生産とバイオマス集荷の効率化ができる可能性が示された。