2020 年 35 巻 4 号 論文ID: 35.189
広葉樹バイオマスの低コスト供給システムを開発することを目的に,積雪期の平坦地において車両系林業機械を用いた広葉樹伐採を実施して生産性を求めるともに,エネルギー資源としての未利用な広葉樹バイオマスの資源量を推定した。適用した作業システムは,伐木と造材工程の木の切断において,チェーンソーを使用する従来型,フェラーバンチャを使用する機械型①,ハーベスタを使用する機械型②の3つである。伐木工程の労働生産性は,従来型では3.8m3/人時,機械型①では7.5m3/人時,機械型②では9.4m3/人時,造材工程ではそれぞれ3.6m3/人時,2.8m3/人時,3.0m3/人時であり,システム全体ではそれぞれ1.7m3/人時,1.9m3/人時,2.1m3/人時と求められた。さらに安全性面から評価すると,野外作業時間が限定される機械型①②の作業システムが比較的安全であり,積雪期の広葉樹の伐採に有効であると考えられた。また,エネルギー資源として未利用な広葉樹バイオマスの資源量を推定すると,伐採した地上部全質量の28%であり,人工林の伐採量の内訳割合と同程度を期待できることが分かった。