近年,これまで森林環境では利用が困難とされていたRTK(Real-Time Kinematic)測位が可能になってきた。本研究では,スギ人工林内において2周波GNSS受信機とソフトバンク社の高精度測位サービスを用いてRTK測位を行い,正確度誤差,精密度誤差,2DRMSを指標として測位精度の検証を行った。その結果,精密度誤差は0.17~0.47 m,正確度誤差は0.85~0.93 m,2DRMSは1.78~2.24 mであり,スギ人工林でのRTK測位は開空地に比べると立木の影響を受けて大きく精度が低下した。周囲測量の結果,面積の誤差率は最大-3.7 %であり,対象地の面積が小さい割には良好な結果であった。また,FIX率は15.4~29.9 %と低く,t検定の結果,FIX解とFLOAT解の測位精度には有意な差が認められなかった。ゆえに,FIX解とFLOAT解の精度が同等な森林環境では,FIX解の代わりとしてFLOAT解が利用できる。さらに本研究では,アンテナの種類やアンテナの高さを変えることで測位精度を改善できるのではないかと考えて,その検証のための追加的な測位試験を行ったが,測位精度を改善することはできなかった。