2015 年 48 巻 2 号 p. 67-74
本論文では国土地理院発行の1:25,000地形図から作成したDEM を基に推定した傾斜角と方位角の誤差について検証した。最初に,地理情報システムを用いて,国土地理院の基盤地図情報(縮尺レベル25000)の10m間隔の等高線および標高点から空間解像度10mのDEMを作成するとともに,国土地理院の基盤地図情報(数値標高モデル)10mメッシュデータからもDEMを作成した。それらのDEMから斜面の傾斜角と方位角を求めた。次に,GPSと光波測距儀を用いてDEMのセルに対応する林地に10m×10mの区画を設定し,区画の中心点からクリノメータで斜面の方位角と傾斜角を測定した。最後に,現地での測定値を用いてDEMから求めた推定値の誤差を求めた。その結果,傾斜角の推定値は偏りが無く,RMSEが10度以内であった。傾斜角が緩やかな場所を除くと,方位角の推定値も偏りが無く,RMSEが40度以内であった。しかし,谷線や尾根線など等高線間の水平距離に比べて傾斜角や方位角が急減に変化している場所については方位角の誤差が大きくなっていることに留意すべきである。