森林計画学会誌
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森林計画学会誌 第49巻 第2号
全国自治体における「森林管理・環境保全直接支払制度」 導入前後の間伐傾向の変化
広嶋 卓也
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2016 年 49 巻 2 号 p. 83-93

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抄録

本論では,全国の主要都道府県における,2003-2012年度の間伐実績資料を収集し,とくに「森林管理・環境保全直接支払制度」導入前後である2010-2012年度にかけての間伐傾向の変化を明らかにした。解析の対象とした指標は,総間伐面積,搬出間伐量,搬出率の実数値および2010年度を1とした指数である。解析の結果,総間伐面積については,直接支払い制度導入後の2012年度は,導入前の2010年度以前より,41都道府県中38道府県で指数値が減少し,平均が過去10年来最小の0.726となった。搬出間伐量および搬出率については,2012年度は,2010年度以前より,26府県中24府県(搬出間伐量)および26府県全て(搬出率)で指数値が増加し,平均はいずれも過去10年来最大の1.491(搬出間伐量)および2.317(搬出率)となった。とくに総間伐面積,搬出間伐量における2012年度の指数値はそれ以前の年(の一部)と比較して有意な変化と判定され,搬出率の大幅増と合わせて,それらの原因はいずれも直接支払い制度の普及によるものと考えられた。総じて,直接支払い制度の普及により,総間伐面積が減少し,間伐による森林整備が後退したが,搬出間伐が増加し,国産材増産に向けて伐り捨て間伐から搬出間伐への転換が促された。

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