森林計画学会誌
Online ISSN : 2189-8308
Print ISSN : 0917-2017
森林計画学会誌 第51巻 第1号
下刈り回数,斜面方位および植栽密度の違いがスギ植栽木の枯死および誤伐に与える影響
-鹿児島大学附属高隈演習林を事例として-
福本 桂子太田 徹志溝上 展也岩永 史子吉田 茂二郎寺岡 行雄加治佐 剛
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 51 巻 1 号 p. 1-7

詳細
抄録

下刈り回数,斜面方位および植栽密度の異なる7つの試験区を対象にスギの枯死,誤伐本数を調査した。下刈り回数,斜面方位,植栽密度を説明変数に含む多項ロジスティック回帰分析を行い,これらの要因がスギの枯死と誤伐に与える影響を評価した。最も枯死率が高かったのは,北向き斜面では無下刈り区で33.9%,南向き斜面では毎年下刈り区で16.9%だった。両斜面で誤伐は下刈り回数が3,4回の場合で確認された。多項ロジスティック回帰分析の結果,北向き斜面では下刈り回数が多くなるほどスギの枯死率は低下し,南向き斜面では下刈り回数に依存せず枯死率は一定の傾向が見られた。誤伐率は斜面方位や下刈り回数によらずほぼ一定の値を示した。特に植栽密度が1,500本/ha のときに枯死率,誤伐率が高くなった。このことから,斜面方位や植栽密度に応じた下刈り回数を検討する必要性が示された。

著者関連情報
© 2017 森林計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top