2017 年 51 巻 1 号 p. 1-7
下刈り回数,斜面方位および植栽密度の異なる7つの試験区を対象にスギの枯死,誤伐本数を調査した。下刈り回数,斜面方位,植栽密度を説明変数に含む多項ロジスティック回帰分析を行い,これらの要因がスギの枯死と誤伐に与える影響を評価した。最も枯死率が高かったのは,北向き斜面では無下刈り区で33.9%,南向き斜面では毎年下刈り区で16.9%だった。両斜面で誤伐は下刈り回数が3,4回の場合で確認された。多項ロジスティック回帰分析の結果,北向き斜面では下刈り回数が多くなるほどスギの枯死率は低下し,南向き斜面では下刈り回数に依存せず枯死率は一定の傾向が見られた。誤伐率は斜面方位や下刈り回数によらずほぼ一定の値を示した。特に植栽密度が1,500本/ha のときに枯死率,誤伐率が高くなった。このことから,斜面方位や植栽密度に応じた下刈り回数を検討する必要性が示された。