森林計画学会誌
Online ISSN : 2189-8308
Print ISSN : 0917-2017
論文
市町村で森林管理に関する指標を策定する際の方策の類型化と課題の抽出
山田 祐亮
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2019 年 52 巻 2 号 p. 49-57

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抄録

持続可能な森林管理の実践に対しては,地域レベルに適応した基準・指標の活用が有効である。基準・指標の計画への組み込みを企図するにあたり,実際に運用されている事例から学ぶことは多い。本研究では,先進的に計画策定に指標を活用している市町村(豊田市,新城市,長浜市,対馬市)を対象とし,聞き取り調査により計画策定・運用プロセスを明らかにする。そして,指標策定プロセスの類型化を試み,指標策定・運用に関して共通する課題を示す。調査の結果,指標は地域の特色や事情を色濃く反映していた。指標策定には,トップダウン型とボトムアップ型,アウトプットとアウトカム,需要型と現状型といったアプローチが見られる。また,指標の網羅性,計画や指標間の整合性,周知方法,妥当性の検証に関する課題を抱えていた。 今後,意欲のある市町村が計画に指標を取り入れ,その効果を高めていくことが期待される。そのためには,計画や指標間の関係性の把握や,意欲のある市町村をバックアップする制度の整備が特に重要である。

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© 2019 森林計画学会
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