森林計画学会誌
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論文
沖縄島やんばる地域の約65年生二次林における大径木の分布と地形の関係
高嶋 敦史大島 順子
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2019 年 52 巻 2 号 p. 59-65

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抄録

大径木は,亜熱帯性照葉樹林の保全において重要な指標であると考えられている。そこで本研究では,沖縄島やんばる地域に広がる約65年生の二次林において,大径木の分布と地形の関係を小流域レベルで調査した。その結果,胸高直径30cm以上の大径木の密度は全樹種合計で91.0本/haであり,そのうちイタジイが65.2%,イジュが20.9%,オキナワウラジロガシが6.4%を占めていた。やんばる地域の非皆伐成熟林を調査した既往の研究と比較すると,大径木の密度は半分以下に留まっていた。調査対象の小流域を尾根,中間斜面,谷の3つの地形に区分して大径木の密度やサイズを比較したところ,尾根では大径木の密度が谷や中間斜面の半分以下であった。また,イタジイやイジュは,尾根より谷でサイズが大きくなっていた。このように,やんばる地域の約65年生の二次林では,谷を中心にサイズの大きな幹が分布していた。また,谷から中間斜面にかけては過去の伐採を免れた老齢な大径木も僅かながら残っており,谷や中間斜面は二次林においても生態系管理や生物相保全の面で大きな役割を果たす重要な立地である可能性が示唆された。

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© 2019 森林計画学会
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