日本林學會誌
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杉天然下種試驗(第三報)
種子落下量及其状態落下種子の發芽時に於ける品質並稚樹發生状態に就て
柴田 信男
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1934 年 16 巻 10 号 p. 789-813

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抄録

1.豊饒なる結實木が1ha九本乃至五〇本存立する時には、種子落下量は一米平方當り平均七〇〇粒乃至二二〇〇粒に及び、之は種々の環境に於て、満五年生の稚樹を一米平方當り一本得るに必要な種子粒数の實に一・四倍乃至七〇倍飴に及ぶものである。(第20表) 1 (備考)下表は前記各種の手入方法別につき満五年生の稚樹を得るに要する種子量xと各試験地の一米平方當砂落下種子粒数の平均より算出したものである。
第20表
2.落下種子の約六五%以上は地表に露出して存在し、且其七五乃至八三%は純正種子にして發芽時に於ても尚落下種子全量の七乃至二四%の發芽力を保有す。其發芽力は種子落在地點の環境に影響さるゝものであつて.(1) 地表下にありしものは地表面にあつたものより發芽率大である.(2) 陽光射入量多きに過ぐる時(又は土壌の濕度小なること或は其變化の大なることの間接的影響か)は發芽力を低下せしむ.(3) 母樹より落在地點迄の距離に關係し、遠くに落下せるものは品質劣る傾向がある様に思はる、(4) 傾斜面の方向によつて異なり西面、南面傾斜地は優良にして北面傾斜地のものは最も木良である。
3.場所により稚樹發生に遲速あり、其差異は五月上旬に於て顯著にして六月の中旬には何れの場所も殆ど最高の發生率に達す。
4.地表面の状態により稚樹發生數に差あり一般に階段状整地を行つた所に於て整地處理を行はない所よりも發生總數大なる傾向を認めらる。
5.稚樹は地拵後數年を經る場所にも多數發生するものであつて即ち一囘の地拵へにより數囘ゆ結實年度を利用し得らるゝ様である。

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