日本林學會誌
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孤立、及接觸導管數の分布率に就いて
兼次 忠藏
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1934 年 16 巻 10 号 p. 847-854

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抄録
1) 楓屬のイタヤカヘデ及びカヘデの両樹材に就て、樹心部より樹皮部に至る10個宛の年輪を一組とし、其内に現はれて來る孤立導管及各種接觸導管の數を讀定し.其分布率を計算せるに、何れの齢階に於ても概ね一定なることを認め得た。
2) 此結果、孤立導管及接觸導管數の分布率は木材の識別據點として比較的に安定なるものであると云ふことが出來る様である。
3) 同一屬の樹種は概ね類似の分布型を有し。楓屬では、二三の例外はあるが、孤立、二個、三個接觸導管數の出現する割合が約6:3:1の比となつて居る。
4) 分布の型はJ字、逆J字及び非對稱型、(左、右二種を含む)に分つことが出來る、が其内最も多數を占めるものはJ字型及び左方に偏倚せる非對稱型である。
5) 同一屬近縁の樹種中にも分布の形式を異にするものがあるが、其事が屬中の特殊なものであるか否かは後日の研究に俟たねば斷定出來ない。
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