日本林學會誌
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宇都宮に於けるマダケの生長に就て
鈴木 丙馬
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1934 年 16 巻 6 号 p. 441-452

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抄録
1. 宇都宮に於けるマダケの高さの微生長期間を除いた所の普通の生長期間は約30-35日間である。
2. マダケの高さの總生長曲線は長S字形曲線を表はし、毎日の生長曲線は極大を略中央部に出現する所の略對稱形曲線を現はす。
3. マダケの高さの全生長期間を便宜上初期(8日)、中期(17日)及終期(8日)の三大生長期に區劃すれば、その各期に於ける毎日の平均生長量は大體に於て1:3:1の比を以つて示される。
4. マダケの高さの各時刻別の最大生長量は何れも中期、加之殆ど中央部最盛期に現はれ、マダケNo.1-No.3の3本の平均に於て(平均直經33.7mm)午前は121mm,午後は154mm,畫間は269mm,夜聞は210mm,毎日は468mmであつた。
5. マダケの高さの全生長期間を通じ午前、午後並に畫夜の各小周期に於ける生長量は大差なきも.平均に於て午前は牛後より小さく.畫聞は夜聞より大きい傾向を示す。
6. マダケの高さの三大生長期を區劃し得る所謂生長の大周期を支配する主要因子はその立地に於て表現し得可きマダケの本性即ち生理的内因であらうが,その小周期並に不規則變化を支配する決裁的因子は本地方(6月、7月)に於ては氣象的外因、就中氣温である様に思はれる。即ち平均氣温約25°C迄は生長曲線と氣温曲線とは略相併行して變化する傾向を認あ得られる。特に生長の最盛期に於ける此の關係は顯著であつて僅か2°C-3°Cの平均氣温の低下に依つて生長量は約1/3の低減を示してゐる。尚次に示す如く午前及午後、或は畫夜に於ける總平均生長量と總平均氣温との關係も亦此の事實の左證となり得るであらう。
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