日本林學會誌
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針葉樹假導管細胞膜のシセル排列
尾中 文彦原田 浩
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1951 年 33 巻 2 号 p. 60-64

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抄録
針葉樹古材の仮導管膜壁に現はれる腐朽孔の走向角度によりミセル排列傾角を測定した結果,
1.仮導管の第二次膜中層のミセルは細胞の長軸に対して略一定の傾きなもつた螺旋状排列ななしている。但し孔紋の附近ではその縁を迂回する傾向がある。
2. 1個の細胞について見ると,ミセル排列の傾斜は両端の細くなつた部分に於て細胞の長軸となす角度が小となり,又切線膜にて射出線ろ接触により径の小となつているところに於ても同様である。
3,春材仮導管のミセル排列傾角は放射膜の方が切線膜より大であるが,秋材仮導管に於ては反対に切線膜の方が大であろ。
4.一般にミセル排列傾角は春材よりも秋材に於て小であるが.その差は切線膜に於てに放射膜程著しくない。
5.放射方向の細胞径は言う迄もなく春材より秋材に向つて小となるが.ミセル排列傾角は之に従つて小となり両者に正の相関率が高い。切線膜に関してはそのような関係が明瞭でない。
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