総合病院精神医学
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総説
精神疾患に対するコンピュータ・インターネット精神療法:定性的レビュー
竹島 望渡辺 範雄
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2014 年 26 巻 3 号 p. 245-254

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抄録

目的:コンピュータ・インターネットで利用できる精神療法のエビデンスを俯瞰する。

方法:何らかの精神疾患をもった参加者を対象に,コンピュータ・インターネット精神療法を行い,アウトカムとして精神症状やQOLをみたメタアナリシスを含む系統的レビューを収集した。 PubMedを利用してMedlineを検索し,同テーマが複数ある場合は最新のものを選択した。

結果:①うつ病に対するコンピュータ認知行動療法(computerized cognitive behavioral therapy:cCBT),②不安障害に対するmedia-delivered CBT,③不眠症に対するcCBT,④統合失調症に対する認知矯正療法,⑤不安障害に対する仮想曝露療法の合計5本の系統的レビューが該当した。系統的レビューの質にばらつきはあったものの,いずれにおいてもwaiting listや介入なし群に比べて統計学的に有意な効果を認めた。対面の精神療法との比較は不安障害(②)のみで,対面の精神療法が有意に効果を示した。うつ病と不安障害の研究(①と②)では,cCBT はwaiting list群に比べて脱落割合が有意に増えた。

結論:コンピュータ・インターネット精神療法はうつ病,不安障害,不眠症,統合失調症に対して効果を認めるが,脱落割合が多くなる可能性がある。

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© 2014 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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