2016 年 28 巻 2 号 p. 106-112
電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)はカタトニアに対する治療として有効性が確立されている。近年,自閉症スペクトラム障害(autistic spectrum disorder:ASD)がカタトニアを呈すると報告されており,他の治療で効果が得られず迅速な改善が求められる場合には,ECTを施行されることも少なくない。また再燃予防の維持療法としてmaintenance ECTが行われることもある。今回われわれは,幼少時に自閉症と診断され40歳代になって重度のカタトニアを呈し,ECTが症状の改善およびその再燃予防に効果的であった症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。