総合病院精神医学
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原著
死別からの回復過程におけるレジリエンス:介入研究のシステマティックレビュー
大山 寧寧
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2019 年 31 巻 3 号 p. 285-297

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抄録

国内外において,死別を経験した者を対象にレジリエンスを高めることを目的とした実証的な介入研究は少なく,それらをまとめた系統的レビューはさらに数が限られる。本研究では,1)死別からの回復過程においてレジリエンスを高めることを目的とした介入研究のシステマティックレビューを行い,その有効性を検証すること,2)死別領域におけるレジリエンス研究の方法論的問題を調べることを目的とした。Pubmed,EBSCO,Cochrane,Medical Finder,医中誌を検索し,883件の文献をスクリーニングした結果,適格基準を満たすRCT研究は4編のみであった。いずれの介入も死別後の心理適応や精神衛生の改善に概ね役立つことが示唆されたが,うつやPTSD,病的悲嘆をアウトカムとした研究が多く,レジリエンスを直接評価した研究が不足していた。今後は,質の高いRCTやメタアナリシスによる複数の研究結果の統合を進め,エビデンスを蓄積していくことが課題である。

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© 2019 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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