2021 年 33 巻 1 号 p. 35-43
心因性非てんかん性発作(psychogenic nonepileptic seizures:PNES)はてんかん発作に類似した症状を示すが,抗てんかん薬では無効であり精神科的治療が有効である。PNESの診断から治療へのシームレスな連携,つまり包括的なPNES診療体制の構築が必要であり,精神科医はその中心的な役割を担うことが望まれている。1)てんかん診療医によるPNESの病状説明は,てんかん診療から精神科診療へと大きく転換する重要な場面であり,精神科医も同席することで精神科治療へのアクセスを促す。2)PNES患者の救急受け入れ体制を構築する。3)患者の背景にある生物・心理・社会的問題点を分析して,環境整備や認知行動療法的な精神科診療を行う。4)高度な精神療法が必要な場合には,専門家と併診しながら継続的に支援をしていく。こうした様々な連携において,総合病院精神医学の知識を活用することが期待される。