2022 年 34 巻 1 号 p. 36-43
埼玉医科大学総合医療センターは大学附属総合病院で,総合診療内科,感染症科・感染制御科を中心に2020年4月より新型コロナウイルス(COVID-19)感染症診療が行われている。精神科はリエゾンチームとしてCOVID-19患者受け入れに伴う医療従事者の心理的負担に関するアンケート調査を行っている。今回は4月〜9月の結果を報告する。回答率は55.6%で,COVID-19専門病棟の医療従事者において,抑うつの重症度と専門病棟に関連したストレスの経験は有意に関連し,不安の重症度と専門病棟に関連したストレスの経験および同居家族がいることが有意に関連していた。また,勤務に関連したストレスを自覚している群では,自覚していない群と比較し意識的なストレス対処をしている割合が有意に高かった。今後も長期的に続くことが予想されるCOVID-19感染症診療への対応として,心理社会的な問題が医療従事者に与える影響を考慮に入れながらメンタルヘルス支援体制を構築していくことが必要と考える。