総合病院精神医学
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総説
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延下で高齢者に起きていることと認知症予防
高橋 晶
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2022 年 34 巻 2 号 p. 136-146

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者にも強い影響が出ている。社会的な環境変化により,外出機会が減少し,それに伴う心身の不調は大きな問題である。COVID-19罹患により,生物学的要因としてSARS-CoV-2ウイルスの脳への直接的感染,血管障害,血栓形成などが指摘されている。一方,社会的要因としては,高齢者を取り巻く社会環境は変化している。感染制御対策のため,外出が困難になったことによって,身体・精神的な影響を生じ,社会的な孤立を生み,経済的な要因も影響がある。まだ未解明の点も多いため,医療的な治療と,社会的な支援などを適切に行い,患者に有害にならないように,慎重に対応することが求められる。COVID-19と各認知症で,傷害部位が近似していることからも予防的な観点で,感染を防ぎ,感染後の罹患後症状の進展を抑える対応が,認知症悪化の予防につながると考えられた。

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© 2022 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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