2023 年 35 巻 3 号 p. 221-226
日本は少子高齢化が世界で最も進み,認知症患者数の増加と生産年齢人口の減少はとどまることがない。認知症患者と認知症患者をケアする人たちができる限りその人らしい生き方ができるように,医療現場では多職種で連携して地域での生活を支える必要がある。認知症診療の拠点として認知症疾患医療センターが全国に配置されている。認知症の約7割を占めるアルツハイマー型認知症以外にも,パーキンソン病をはじめ身体疾患に伴う認知症が数多く存在するため,認知症疾患医療センターでは他科と精神科で連携して早期に診断を確定することが重要になる。また,ソーシャルワーカーなどの協力の下,地域の支援体制を整えることが必要になる。本稿では,認知症疾患医療センターを中心に認知症診療や支援の体制を解説するとともに,当院におけるオンライン診療や,認知症をケアする人に向けたプログラムであるiSupportなどの取り組みも紹介する。