日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
尾状葉原発肝内胆管癌の1切除例
白川 博文中郡 聡夫後藤田 直人高橋 進一郎小西 大小嶋 基寛木下 平
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 42 巻 2 号 p. 204-209

詳細
抄録

 症例は59歳の男性で,全身掻痒感を主訴に近医受診し,閉塞性黄疸の診断にて内視鏡的逆行性胆道ドレナージを施行され当院紹介受診した.画像検査所見では肝尾状葉を中心として前・後区域枝分岐部および内側区域に及ぶ径4.5×3 cm大の腫瘤を認め,造影CTにて遅延する濃染像を呈した.腫瘍は右肝動脈,門脈右枝および門脈左枝の水平部まで全周性に浸潤していた.以上より,尾状葉原発の肝内胆管癌と診断した.経皮経肝門脈塞栓術施行後,尾状葉全切除を伴う肝拡大右葉切除,門脈合併切除,肝外胆管切除を施行し根治的に切除しえた.病理組織学的診断は中分化型腺癌を主体とする腫瘤形成型肝内胆管癌であり,左肝管および十二指腸側胆管断端は癌陰性であった.術後,肝断端膿瘍を認めたがドレナージにより軽快し術後40病日に退院した術後1年6か月,再発を認めていない.尾状葉原発肝内胆管癌の切除例の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top