日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
終末回腸重複腸管に発生した腺癌の1切除例
大城 幸雄大河内 信弘永田 千草稲留 征典榎本 剛史松尾 亮太
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2009 年 42 巻 2 号 p. 215-220

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抄録

 症例は40歳の女性で,腹痛,下血の精査治療目的で本院入院となった.精査にて骨盤腔に約10 cm大の腫瘍を認め,回腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)の術前診断で回盲部切除術を施行した.術中所見では約7 cm大の粘膜下腫瘍を終末回腸に認め回腸GISTが強く疑われたが,病理組織学的診断では重複腸管に発生した腺癌であった.嚢胞状の腫瘍内腔には古い血液が充満しており,内腔面に裏打ちするように菲薄化した粘膜が散在し腺癌が認められた.嚢胞を構成する壁は厚く腸管壁の構造が保たれており癌は筋層内および漿膜下層にまで浸潤していた.Type5型,6.0×6.0×4.0 cm,tub2,pSS,ly0,v0,pN1(2/13),fStage IIIaであった.術後問題なく第11病日に退院した.補助化学療法は大腸癌に準じUFT/LV(経口)併用療法を7コース施行し再発転移はない.腸管重複症に発生した腺癌の症例はまれであるため治療法は確立されていない.終末回腸に発生した重複腸管の癌化の文献報告例は本邦第1例目であった.

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