日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
十二指腸分節切除後に再建方法を工夫した十二指腸平滑筋腫の1切除例
金澤 周大島 貴山本 直人佐藤 勉高川 亮牧野 洋知永野 靖彦藤井 正一今田 敏夫國崎 主税
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2009 年 42 巻 5 号 p. 499-504

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抄録

 症例は52歳の女性で,心窩部痛の精査のためのCTで膵頭部腫瘍を指摘され当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査でVater乳頭の2.5 cm肛門側で乳頭側に4 cm大の粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査で十二指腸の第4層と連続する腫瘍を認め,十二指腸gastrointestinal mesenchymal tumor(以下,GIMT)と診断した.悪性も否定できないため,十二指腸分節切除術を施行.再建はTreiz靭帯より30 cmの空腸を切離し後結腸経路で空腸を挙上し,十二指腸下行脚と側々吻合した.空腸の口側断端は盲端とし,挙上空腸と側々吻合した.病理組織学的診断は平滑筋腫であった.術後経過は良好で,術後造影検査で吻合部の通過は良好であった.本邦においてVater乳頭対側のGIMTに対する楔状切除の報告は多いが,膵臓側のGIMTに対し分節切除後に再建した報告は少ないため,文献的考察を加え報告する.

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