日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腹部結核の2例:診断におけるQuantiFERON® TB-2 Gの有用性
田中 栄治森田 圭介飯坂 正義上村 眞一郎井上 克彦坂井 良成伊藤 清隆栗脇 一三
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2009 年 42 巻 8 号 p. 1442-1447

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抄録
 本邦において結核は依然として主要な感染症であり,その約20%が肺外結核であるが,しばしば診断に苦慮する.最近,結核の診断に用いられるようになった検査法QuantiFERON® TB-2G(以下,QFT)が,診断に有用であったと思われた腹部結核の2症例を経験したので報告する.1例は腹部腫瘤のある75歳の女性で,CTにて下腹部と肝臓に多房性の腫瘤を認め,肺門リンパ節の腫大や左副腎腫瘤も認めた.悪性疾患を疑わせる臨床像を示していた.開腹生検でも診断がつかなかったが,QFTが陽性を示し,結核の診断となった.2例目は急性腹膜炎の73歳の女性で,CTにて腹部腫瘤を指摘されていた.過去2回の炎症性腫瘤に対する腸切除の既往があり,QFTの結果を含めて総合的に結核と診断した.外科領域において腹部結核が鑑別に挙がることも多いが,このような場合にQFTは非常に有用な検査であると考えられる.
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