日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
胆管内発育により閉塞性黄疸を来した肝内胆管嚢胞腺腫の1例
井内 武和仲 成幸塩見 尚礼来見 良誠石田 光明増田 清博谷 徹
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2010 年 43 巻 11 号 p. 1146-1151

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抄録
 症例は21歳の女性で,食欲不振を主訴に近医を受診した.閉塞性黄疸,肝嚢胞性腫瘍と診断され経乳頭的ドレナージの後に当院へ転院となった.胆道造影検査では総肝管から左肝管にかけて長径3.5 cmの辺縁平滑な楕円状の陰影欠損と左肝内胆管末梢側の拡張を認め,CTおよびMRIでは肝内側区域に内部に隔壁をもった最大径5 cmの嚢胞性病変と総肝管内腔を占める嚢胞性病変を認めた.肝内胆管嚢胞腺腫の診断のもとに肝左葉切除,胆管切除,胆管空腸吻合を施行した.切除標本では肝内側区域の嚢胞性腫瘍と,それにつながり総肝管内に突出する小さな嚢胞性腫瘍を認め,H.E. 標本で卵巣様間質を認め肝内胆管嚢胞腺腫と診断した.胆管嚢胞腺腫は比較的まれな腫瘍であり,胆管内に嚢胞が突出する発育形式の報告は今までにない.他疾患との鑑別において注意すべき所見と考えられるため,文献的考察を加えて報告する.
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