日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
長径85 mmの膵頭後部リンパ節転移陽性で肝膵同時切除により6年生存中の胆嚢癌の1例
細川 勇一中郡 聡夫小西 大高橋 進一郎後藤田 直人木下 平
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 43 巻 5 号 p. 536-541

詳細
抄録
 症例は69歳の女性で,右乳癌術後の定期検査で胆嚢癌を疑われ,当院紹介となった.CT,MRIでは胆嚢全体を占める腫瘍を認め,胆嚢頸部に20 mm大および膵頭後部に85 mm大のリンパ節腫大を認めた.ERCPでは胆嚢管は途絶し,上部胆管に18 mmにわたる外部からの圧排によるものと考えられる狭窄像を認めた.血管造影検査では門脈本幹が30 mmにわたり扁平化しており門脈浸潤が疑われた.以上より,胆嚢癌,リンパ節転移,門脈浸潤陽性と診断し,開腹手術を施行した.開腹すると門脈は剥離可能であり,拡大胆嚢摘出および膵頭十二指腸切除,2群リンパ節郭清,No16a2,16b1リンパ節郭清術を施行した.病理組織学的診断では乳頭腺癌,深達度ss,No12c,13aリンパ節転移陽性でn2,stageIIIであった.術後,軽度の膵液瘻を認めたが保存的に軽快し,術後36日目に退院となった.術後6年現在,無再発生存中である.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top