日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
膵頭十二指腸切除術後の上腸間膜動脈仮性動脈瘤出血に対し動脈バイパス術を施行し救命しえた1例
椋棒 英世松本 逸平白川 幸代外山 博近新関 亮辻村 敏明味木 徹夫堀 裕一福本 巧具 英成
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2010 年 43 巻 5 号 p. 548-553

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抄録
 症例は61歳の男性で,膵頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術(Pancreatoduodenectomy;以下,PDと略記)を施行した.術後10日目に膵空腸吻合部ドレーンから大量出血を認め,出血性ショックとなった.血管造影検査で上腸間膜動脈(Superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)根部に径1 cmの仮性動脈瘤を認め,同部からの出血と判明した.仮性動脈瘤がSMA根部にあったため,Interventional radiology(以下,IVRと略記)による止血は不可能と判断し,緊急手術を施行した.手術は残膵全摘,SMA縫合閉鎖,左大伏在静脈による右総腸骨動脈-SMAバイパス術を施行した.術後CTではSMA本幹からの血流はなく,腸管血流はグラフト経由で供給されていた.PD術後の仮性動脈瘤大量出血に対しIVR施行困難例では躊躇なく積極的な外科手術を考慮すべきと考えられた.
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