日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
S状結腸癌治癒切除術後5か月目に肝静脈腫瘍塞栓による肝うっ血,肝壊死により急速な転帰を呈した1例
森 義之飯野 弥松田 政徳日向 理岡本 廣挙藤井 秀樹
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2010 年 43 巻 8 号 p. 844-849

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抄録
 症例は84歳の男性で,2007年9月,S状結腸癌(pStage IIIb)に対し根治手術を施行した.術後5か月目に上腹部の膨満感を認め,腹部CTにて多発肝転移と肝左葉の広範なうっ血を認めた.入院後1週間で肝不全,腎不全のため死亡した.病理解剖を施行し,低分化腺癌による多発肝転移,中肝静脈への内側区域からの枝と左肝静脈の腫瘍塞栓および門脈左枝の腫瘍塞栓による左葉のうっ血,壊死が死亡原因と考えられた.大腸癌による肝静脈腫瘍塞栓の形成と門脈腫瘍塞栓の合併による肝うっ血,肝壊死は極めてまれな病態であると考えられる.
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