2011 年 44 巻 10 号 p. 1340-1345
今回,我々はスピーゲルヘルニア(Spigelian hernia;以下,SHと略記)の症例に対し,Composite meshを用いた腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った症例を経験したので報告する.症例は88歳の女性で,右下腹部の膨隆と痛みを主訴に受診した.腹部CTと腹部エコー検査で右腹直筋外縁に脱出する腸管を認め,ヘルニア門は約2cmであった.SHと術前診断し,腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.右腹直筋外側のスピーゲル腱膜部にヘルニア嚢を認め,直視下にSHと診断した.ヘルニア門を覆うようにComposite meshをあて,22個のタックでmeshの辺縁を腹壁に固定した.Composite meshを用いた腹腔鏡下ヘルニア修復術は,術中確定診断が可能で,低侵襲でありmesh関連の合併症が少ないことから,高齢者に多くみられるSHに対する良い適応である.