日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
gastrointestinal stromal tumorの肝転移に対しメシル酸イマチニブ投与中に腸閉塞で発症した小腸間膜デスモイド腫瘍の1例
安藤 敏典三浦 康内藤 剛小川 仁矢崎 伸樹羽根田 祥柴田 近佐々木 巖藤島 史喜石田 和之
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2011 年 44 巻 3 号 p. 288-294

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抄録

 症例は66歳の男性で,2007年4月,約10cm大の回腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)に対して,回腸部分切除術を施行した.7か月後多発肝転移を来しメシル酸イマチニブ400mg/日を開始し,肝転移巣は約1年6か月間stable diseaseであった.2009年5月腸閉塞を来し,腹部CTにて腸閉塞の原因となる腫瘤を認め,GIST再発を疑い腫瘤摘出術を行った.腫瘍は8×7×4cm大で,回腸間膜内に存在し,他臓器浸潤は認めなかった.病理組織学的には,分化した繊維芽細胞の増殖からなる腫瘍性病変で豊富な膠原繊維の介在を伴い,核分裂像は認められなかった.免疫組織化学ではc-kit陰性でβ-カテニンが核内に陽性を示し,小腸間膜デスモイド腫瘍と診断された.メシル酸イマチニブ投与中に腸閉塞で発症した小腸間膜デスモイド腫瘍の報告例はなく鑑別が極めて困難であった.

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