日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腸重積で発症した盲腸悪性リンパ腫の1例
森 隆太郎簾田 康一郎原田 郁佐々木 真理村上 崇徳久 元彦長谷川 誠司江口 和哉仲野 明
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2011 年 44 巻 3 号 p. 311-317

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抄録

 症例は75歳の男性で,2008年8月 排便困難感と右下腹部痛を主訴に近医を受診した.腹部X線検査でイレウスと診断され当科を紹介受診した.腹部造影CTでtarget signを認め,注腸検査では上行結腸にカニ爪様陰影欠損を認めたため腸重積によるイレウスと診断した.イレウス管を挿入し,症状改善後に施行した大腸内視鏡検査で,盲腸に2型の腫瘍を認め,生検で悪性リンパ腫と診断し待機的に手術を施行した.術中所見で,盲腸および回腸末端は腫瘍を先進部として上行結腸内に重積し,回結腸動静脈に沿って腫大したリンパ節を認め,回盲部切除術を施行した.病理組織検査では,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫であった.R-CHOP療法による補助化学療法を施行し,術後1年4か月の現在無再発生存中である.成人腸重積症は比較的まれな疾患であり,なかでも大腸原発悪性リンパ腫による腸重積症は極めてまれであるため文献的考察を加え報告した.

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