日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
経カテーテル動脈塞栓術が有効であった直腸血管奇形の1例
海藤 章郎橋本 忠通高橋 修平澁澤 公行金木 昌弘森田 英夫亀岡 信悟
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2011 年 44 巻 5 号 p. 610-616

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抄録

 症例は52歳の男性で,他院にて痔核根治術を施行中,痔核切除部付近より大量出血し,当院に搬送され緊急止血術を施行したが6日後再出血した.dynamic CT,下部消化管内視鏡(Colonoscopy;以下,CSと略記),および血管造影にて直腸肛門周囲を中心とした骨盤内多発血管奇形と診断し,feederと思われる右中直腸動脈に対して超選択的経カテーテル動脈塞栓術(Transcatheter Arterial Embolization;以下,TAEと略記)を施行した.しかし,術後CSにて怒張血管が残存しており再出血の可能性が高いと考え,右下直腸動脈・正中仙骨動脈に再度超選択的TAEを行った.その後CS,dynamic CTにて所見改善を確認し,再出血を認めず退院した.今回,我々はTAEにより治療した比較的まれな直腸血管奇形の1例を経験した.広範な直腸血管奇形に対する外科的切除は高侵襲であり,TAEによる治療は有用であると考えられたので,若干の文献的考察を加え報告する.

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