日本消化器外科学会雑誌
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臨床経験
開腹創を利用した経腹膜外アプローチによるKugel patchを用いた閉鎖孔ヘルニア修復法
太平 周作久保田 仁鈴木 秀昭林 英司石黒 成治鈴木 俊裕田中 征洋
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2011 年 44 巻 5 号 p. 645-650

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抄録
 閉鎖孔ヘルニアはCTにより比較的容易に診断可能であるが,高齢者に多いため必ずしも嵌頓早期に受診するわけでなく,腸管が壊死してから受診することも多い.したがって,閉鎖孔の閉鎖にはメッシュなどの人工物を用いずに単純縫合閉鎖するケースが多い.当院では最近5年間に13例14病変の閉鎖孔ヘルニアを経験した.最近の5例以外の8例9病変の術式は単純縫合閉鎖5病変,プラグ挿入2病変,メッシュ挿入が2病変であった.最近の5例に対しては正中切開の開腹創から腹膜前腔を剥離して閉鎖孔を覆う位置にKugel patchを挿入する方法を行った.そのうち1例に腸切除を行った.腹膜前腔は疎な組織のため正中創からでも容易に閉鎖孔まで剥離ができる.本方法はpatch挿入後に腹膜と腹直筋後鞘を縫合し腹膜前腔を閉鎖することにより,感染のリスクも少なく,確実に骨盤内ヘルニアの多くをカバーできる良い方法と考えた.
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