日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
卵巣転移を伴う進行小腸癌を合併したPeutz-Jeghers症候群の1例
張 丹宮田 完志湯浅 典博竹内 英司後藤 康友三宅 秀夫田畑 光紀小林 陽一郎藤野 雅彦河田 健司
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2012 年 45 巻 7 号 p. 749-757

詳細
抄録

症例は33歳の女性で,2歳時にPeutz-Jeghers症候群と診断され4回の開腹手術歴がある.腹部膨満感を主訴に当院婦人科を受診した.CTにて多量の腹水と右卵巣腫瘍を認め,腹水細胞診で腺癌細胞を認めたため,卵巣癌,腹膜播種の診断で手術が施行された.開腹時,Treitz靱帯より100 cm肛門側の空腸に腫瘍を認めたため,右付属器摘除に加えて小腸部分切除を行った.小腸腫瘍は漿膜に露出する長径6 cmの亜有茎性乳頭状腫瘍で,病理組織学的に過誤腫,腺腫,腺癌の混在する小腸癌であった.右卵巣腫瘍は小腸癌の腹膜播種性転移と診断した.Peutz-Jeghers症候群に合併した小腸癌切除の本邦報告例は自験例を含めて12例で,その多くで小腸ポリープからの癌化が示唆された.Peutz-Jeghers 症候群の患者では消化管ポリープの癌化,他臓器癌の可能性を念頭においた厳重な経過観察を行うべきである.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top